角田裕毅がマカオGPで表彰台をもぎとらねばならない4つの理由
11月14日~18日にかけてアジアのモータースポーツ界が世界から注目されます。
年に一度のマカオGPが開催されるからです。
かつてのチャンピオンや現役ドライバーの多くがここマカオGPで優勝しF1へと駆け上がっている事から、F1の登竜門とも言われています。
現時点では日本人の角田裕毅選手一人がエントリーリストに上がっており、有力チームから出走する事が決まっています。
2019年マカオGPは角田裕毅選手にとって非常に大事なレースとなります。
このレースで良い成績を納めることができれば来シーズン良いシートを得ることになり、悪い成績だと来シーズン期待できるシートを得られないどころか、育成プログラムを外されることもあり得るのです。
しかし、
角田裕毅選手はやってくれるはずです。
マカオGPで表彰台をもぎとらねばならない4つの理由があるからです。
2019年シーズンの締めくくりであり、来年以降のレーサー人生を占う大事な一戦できっと結果を出してくれるはずです。
マカオGP初出走は有力チームから
同じレッドブルジュニアメンバーと同チームで絶対に負けられない
来年良いシート得るためにもマカオGPで良い結果を出す必要がある
厳しすぎるレッドブル育成プログラム
ハイテック・レーシングは有力チームの一つ
2019年 FIA F3のチームポイント
順位 | チーム | ポイント |
1位 | プレマレーシング | 527 |
2位 | ハイテックグランプリ | 223 |
3位 | ARTグランプリ | 174 |
4位 | トライデント | 134 |
5位 | HWA RACELAB | 100 |
2019年シーズンのFIA F3ではプレマレーシングが圧倒したシーズンでした。
ドライバーズチャンピオンはプレマのR.シュワルツマンで1位から3位までをプレマが独占しました。
去年までのマカオGPでは世界各地のF3規格の車が混在するレースでしたので、世界F3頂上決戦の意味合いが強かったのですが、2019年からはFIA F3の車両のみのレースとなっています。
つまり2019年FIA F3を戦ったチームがそのままこのマカオGPに出走するのです。
ハイテックグランプリはプレマに次ぐ2位の成績でしたので、角田裕毅選手が表彰台に立つチャンスは十二分にあるという事です。
同じレッドブル・ジュニアのユーリ・ビップスとのガチンコ勝負
2019年シーズンそのハイテックグランプリ2位の立役者がユーリ・ビップスです。
223ポイントの内141ポイントを獲得した実力者です。
そして角田裕毅選手と同じレッドブル・ジュニアの一員です。
つまりハイテックグランプリではレッドブルカラーの車が2台走ります。
角田裕毅選手は2019年シーズンチーム力の劣るイェンツァーモータースポーツで1勝しチームポイントの67を全て一人で稼いだ実績があります。
つまり性能の劣る車でも俺は結果を出せる。
同じ車に乗せたら絶対お前には勝つ!
という自信があるんだと思います。
同じチームで同じ車で同じレッドブルジュニア
ここでユーリ・ビップスを打ち負かさなければ次のステージが無くなるかもしれないという背水の陣で臨むはずです。
来年のシート獲得に絶好の機会
2019年はFIA F3で奮闘した角田だが、やはり気になるのは来シーズンの動向だ。レッドブルのモータースポーツ・アドバイザーであり、レッドブル育成ドライバーの人事に大きな影響力を持つとされるヘルムート・マルコ博士は、F1シンガポールGPの期間中に次のように発言をした。
「我々はホンダ、そしてそのドライバーと協力関係にあるが、若手日本人ドライバーの角田裕毅は本当に有望だ」
「我々の計画では彼を来年F2に参戦させ、そこでどのようなパフォーマンスをするのか見させてもらうつもりだ」
「彼はF2で結果を残す必要がある。そうすれば、ここ(F1)でキャリアをスタートすることができるかもしれない」
このマルコ博士の発言について、ホンダの山本雅史F1マネージングディレクターは日本GPのレースウィーク中、motorsport.comに次のように話していた。
「もちろん個人的には、F2の方がレース数も多いし、F3よりパワーもあるので、全てにおいてステップアップできる良い機会だと思っています」
「そういういろんな話をマルコさんともしていますし、チームともしなきゃいけないと考えています」
山本マネージングディレクターはそう語り、角田の来季について明言を避けた。また角田自身も来季の進路に関して明言はしなかったが、次のように明かしてくれた。
「来年に関しては、ある程度決まってはいます。ホンダからもレッドブルからも話はいただいています」
「もちろん、詳細はまだ言えないですけど、“場所”は決まってはいます」
「その来年のことに関しては、前向きな気持ちですし、さらに気を引き締めて取り組みたいなと思っています。来年が本当に勝負の年なので、完璧、またはそれに近いシーズンを送りたいです」
場所というのはおそらくFIA F3又はFIA F2のどちらかのカテゴリーという意味だと思います。
具体的なチームが決まっているという意味ではないように思えます。
F3もF2それぞれ今年の上位ドライバーは上のカテゴリーに進む事になれば、そこにシートの空きが発生します。
それによっていかに良いチームのシートを獲得できるかは今の段階でははっきりしないのです。
FIA F2ではARTグランプリのニック・デ・フリースは2019年シーズンチャンプとなり2020年はフォーミュラーEのメルセデスレギュラードライバーに決定。
DAMSのニコラス・ラティフィは2020年F1のウィリアムズからデビューと噂されていますので、上位チームのシートはいくつか空きますが、2019年FIA F2シーズン下位チームドライバーもFIA F3上位ドライバーも上位チームの空きシートを狙っています。
その為にもFIA F2チームオーナー及びチーム関係者はマカオGPを注視しています。
このマカオGPの結果でより良いシートを得るチャンスなのです。
レッドブル育成は容赦ない
レッドブルジュニアは数々のトップドライバーを輩出しています。
レッドブルレーシングのマックス・フェルスタッペンやアレクサンダー・アルボンフェラーリドライバーのセバスチャン・ベッテル、トロ・ロッソのピエール・ガスリー、ダニール・クビアト、ルノーのダニエル・リカルド、マクラーレンのカルロス・サインツJR他数々の一流ドライバーを育成してきました。
しかしレッドブルジュニアの責任者のヘルムート・マルコは結果を残せないドライバーには容赦ありません。
2017年2018年とマカオGP連覇を果たしたダニエル・ティクトゥムは2019年シーズン日本のスーパーフォーミュラーへと送りこみましたが、開幕3戦で結果を出す事が出来なかったティクトゥムにレッドブルジュニアプログラムから放出。
たったの3戦での見切りです。
もっとも2018年FIA F3シーズン開幕後順調にポイントを重ねチャンピオン間違い無しと言われていたのに、後半戦調子を落とし結果ミハエル・シューマッハの息子ミック・シューマッハに大逆転されたのが、マルコの心証をかなり悪くしたこともありますが。
ティクトゥムだけでなくアレクサンダー・アルボンも2012年シーズンには一度プログラムを外されていますし、2018年トロロッソのレギュラードライバーだったブレンドン・ハートレイも一度プログラムを外されています。
もっと辛酸を舐めたのがトロロッソのダニール・クビアトです。
2014年トロロッソのレギュラードライバーとしてデビューし翌年2015年にはレッドブルレーシングに昇格、しかし荒い運転から「魚雷」などと揶揄されるほど接触事故も多く2016年シーズン途中にはトロロッソのマックス・フェルスタッペンとのシート交換で再びトロロッソに出戻り。
2017年シーズン不調が続いたクビアトはレッドブルジュニアで結果を出していたピエール・ガスリー(現トロロッソチームメイト)にシートを奪われ、レッドブルプログラムから完全放出されてしまいました。
2018年クビアトはフェラーリの開発ドライバーに就任
しかしレッドブルのダニエル・リカルドがルノーへの電撃移籍を発表したことでそのシートにピエール・ガスリーがおさまると、今度はトロロッソのドライバーに適任者がいなくなってしまったのです。
ヘルムート・マルコが首を切り過ぎたことで、レッドブルドライバーがいなくなり、そこで再びダニール・クビアトにお呼びがかかった訳です。
勝手に放出しておいて、人がいなけりゃ戻ってこいってか!
ダニール・クビアトの本心はどの様に思っているかわかりませんが、それだけレッドブルジュニアプログラムは厳しいものなのです。
レッドブルジュニアは即結果を求められます。
角田裕毅選手はマカオGP初出走となりますが、そんなことは関係ないのです。
初めてだろうがなんだろうが、速い奴はいつでもどこでも早くなくてはならぬ。
出来ないヤツは容赦なく切り捨てる。
それがレッドブルジュニアの掟なのです。
角田裕毅がマカオGPで表彰台をとらねばならない4つの理由まとめ
今回のマカオGPでは角田裕毅選手は最低でも表彰台へ昇る必要があります。
チームの力を考えたら十分可能だからです。
この結果によって来シーズンの所属チームが決まってしまう可能性があるからです。
ここで優勝でもしようものなら来シーズンF2のトップチームのシートを得ることもできるかもしれません。
角田裕毅選手の実力とチーム力があれば十分その可能性はあると思います。
期待でワクワクしますね。